第八回 アニメやゲームも忘れてないです。

たたた: 今年はアニメとゲームが非常に熱かったように思います。経済規模自体は微妙に小さくなったのかもしれないけれど、地震の、社会的な影響をあまり「受けない」消費コンテンツだったことが幸いしたのかもしれない。
とんかつ: あ、ごめん。そのへんぜんっぜんわからないので、梅田くんにまかせる(笑)。
たたた: じゃあ簡単に流すと(笑)。象徴的な事件でいえば震災後にテレビCMを取り下げた多くの企業に代わってACの広告が大量に流れました。そのなかでもっとも話題になったのは「たのしーいー、なかまーが、ぽぽぽーん!」という、微妙に古い(笑)アニメーションでしたよね。途中でAKBやスポーツ選手やSMAPが登板したけれど、そちらは話題にはならなかった。アニメーションという形式の無人格的なものや非歴史的な――僕らの現実に対して関わりを持たない、あるいは関わりをジャックイン/ジャックアウトできるメディア特性って、すごいんだなぁって。
 だからこそ、あんまり社会的な事件や出来事に影響を受けず……あるいはその影響を遅らせてコンテンツを作り続けられる強みがでた。去年のアニメ業界にはそんな印象をもっています。
 商業アニメでいえば何を差し置いても『まどか☆マギカ』が大ブレイク。他にフジテレビのノイタミナ枠で名作がけっこう出た印象があります。『あの花の名前を僕はまだ知らない』とかも話題になりましたね。
 さっきでた『けいおん!』の映画化もありました。それから幾原邦彦監督が久しぶりにメガホンをとった『輪るピングドラム』も話題になりましたし、子供向けではまぁ『ジャンプ』・『マガジン』系の作品はじめ、『プリキュア』や『仮面ライダーフォージ』(特撮だけど)といった作品も人気で『ダンボール戦機』『イナズマイレブン』あたりの堅調さも目立ったように思います。それにガンダム最新作の『ガンダムAGE』もはじまりました。
とんかつ: さすがにトピックとして、そういうことがあったのは知ってるけど、中身を全然知らないんですおれ。アニメ、ここ数年まったく見てないから……。
たたた: 中身について言えば、これも個人的には00年代とそれほど大きな傾向的な違いはないんじゃないかなと思います。とんかつ君がみて楽しめるかどうかは正直自信はない(笑)。 
とんかつ: オタク向けでも、モノによっては見れると思うよ。 評判を聞く限りだと、『ピングドラム』と『まどマギ』は行けそうな気がする。ただ積極的に見ようとはしなかっただけで(笑)。なんてったって昔、『少女革命ウテナ』にはどっぷりでしたから……
たたた: 『ピングドラム』と『まどマギ』。この二作は面白いっすね。どちらも「オタ向け」とは言いづらい重みがありますし、でもサービス精神も旺盛で。今年は他に『TIGER&BUNNY』という作品も女性を中心に大きなムーブメントを起こしました。
とんかつ: あー、らしいですね。高校の先輩がED曲やってたよ
たたた: まじか! 世界せまい(笑)。
とんかつSF大会でも、タイバニとかのアニメ方面はかなりにぎわってましたよ。ESP・超心理学の企画に行こうと思って間違って入った部屋がタイバニ企画で、たくさん人入ってた(笑)。
たたた: すごいな、SF大会でもタイバニの企画がでるんだ。
とんかつ: アニメ関連の企画はそこそこあるよー。コスプレ大会とかもあるし。暗黒星雲賞池澤春菜さんだったし。
たたた: ううーむ。カオスだ。SFファンならずとも楽しめそうですね。SF大会って、ハードコアSFファンしか楽しめないものかと思ってた(笑)。
とんかつ: うむ。ただ友達いないとちょっと寂しいかも(笑)。
たたた: 一人はなにもかも寂しいっすよ(笑)。しかし、アニメやその周辺カルチャーの地位は10年前に比べてすら明らかに向上してますよね。今年はジブリや押井といったハイパーメジャー級の活躍はなかったわけですが、だからこそアニメの元気のよさを感じました。
 で、もう一つはゲームなんだけど、今年はソーシャルゲームが大きく注目されて、グリーやモバゲーがいろんな意味で「株」を上げました。ゲーミフィケーションっていう理論的な背景を本格的に伴い、「ゲーム」のものや考え方は今後さらに重要なものになってくんじゃないかなと思います。
とんかつ: あー、そうねソーシャルゲーム
たたた:ずっとCMやってる『ドリランド』とか『コロンブス』とか『ケルベロス』とかの「五文字タイトルゲーム」ね(笑)。ケータイで遊べるソーシャルゲームは集金システムをはじめゲーム業界に文字通りの風穴を開けたと思います。 また、コンシューマーではNINTENDO3DSPSVITAが発売されたし、メガヒットにはあまり恵まれなかったけれど、FFが零式、13-2、と発表され、ザ・エルダースクロールの五作目『スカイリム』がZ指定にも関わらず、かなりのヒットを飛ばしてます。昔よりも存在感は薄くなりましたが、今年はじみーにゲームが面白かったんじゃないかしら。
 で、ケータイなんかのソーシャルゲームはさらに拡大を続けるでしょうけど、コンシューマーはどうなるかな。一方で、ゲームセンターやアーケードは収益はわかんないけど、話題性的にもテレビCMとか観ても低調感が強いですねぇ。
とんかつ: ゲームセンター事情はどうなってるのかしらね。相変わらず、ビデオゲームガンダムvsガンダム系と一部の格ゲー、それに音ゲー麻雀ゲーという感じなのだろうけど。 あんまり未来がなさそうな感じは、する。 あとはメダルゲームか。
たたた: うん。『ボーダーブレイク』とか『戦場の絆』とか『三国志大戦』とかカードゲームやコクピットゲーみたいな、家庭用やスマフォでは味わえない筐体ならではのゲームも面白いんだけど、正直にいってあまり人が入っている感じはしないね……。今年は筐体で大ヒットを飛ばした作品もVSシリーズや格ゲー、音ゲーを除くとあんまりなくて、 それに、時間に関する法律的なしばりもキツくなってる。子供はゲーセンいま行かねーよ……とか条例作ってるとこには言いたくなるけれど、でもまあ学校帰りに音ゲーやってる中高生とか普通にいるし、どうなるかなあって感じですよね。
 でも、ウメハラがここまで注目されている事態というのも以前は想像できなかったし(笑) インターネットや他のカルチャーとの協力で新しいプレイスタイルやスターがでてきたらまた状況が変わるかも知れませんね。
とんかつ: そうだねー。ニコニコ動画の初期に、スト3のジャスティンvsウメハラ動画がやたら人気出た時期あったじゃない。あのころからなのかな。
たたた: 実際に僕もあの動画をみて「え、なにこのプロゲーマーww うますぎww」って思ったもん。実際にイベントにいかなくてもプレイが見られるっていうのは楽しいよね。実際、アーケードゲームのオフラインイベントはむしろ増えたらしいんですよね。
とんかつ: とすると、やっぱり誰かがゲームをやってて周りで見てすげーっていうのが、一番大事なのかしら。それをコンシューマーゲームでやってるのが、ニコ動のゲーム実況動画なんだろうけど。
たたた: ゲームをプレイすることそのものだけじゃなくて、あるプレイヤーのプレイを周りがスゲーっていってる状況が楽しい時はあると思うの。ほら、ファミコン時代も誰かの家にいって、「誰かがゲームをしているところを見るのがたのしかった」ってことはあったじゃない。
とんかつ: あったあった。
たたた: あの感じが可視化されて共有される「祭り」感って、やっぱり一度はオフラインなどこかで経験しているんだと思うな。そういう意味では、ゲームはまだまだ、僕らの文化として第一線でやっていってくれると思います。