内容紹介2 

かつとんたろう『認識論的批評試論』。

本論考は、認識論から出発し、というのも、初期のどいつ/ロマン主義においては、批評あるいは(カント的な)批判とは、それらが純粋な認識の問題であるにせよ、価値判断を含む認識の問題であるにせよ、それら「認識の問題」を解決することから始まるはずである

と考えられていたからなのだが、そのようにしてある種の認識論を基礎においた芸術批評というものが、どのようにして可能であり、いかなる地平を拓くものであるかを考察するものである。

ドイツ・ロマン主義批評を廣松渉の「認識論の四肢的構造連関」を使って解釈する論考。批評とはなにか。あるいは批評において必要なものとは何か。そうした基本的な土台、思想についての思索です。かつとんたろう氏の、とんかつ研究家としてだけではない姿をご覧になられる素敵な論考だと思いますですよ。ややハードな内容ながら、そこにある哲学的なバックグラウンドは折り紙つきの堅牢さ。作品とは、というより、作品を認識することとは、どんなことなのか。それについての、知。

廣松渉著作集〈第1巻〉世界の共同主観的存在構造

廣松渉著作集〈第1巻〉世界の共同主観的存在構造

ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念 (ちくま学芸文庫)

ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念 (ちくま学芸文庫)