そういえば。

梅「そういえば、この間のみにいったんだよ」
安「うん」
梅「そしたら、「文学が足りないと思うの。教えて」といわれた」
安「はぁ」
梅「どうしたらいいと思う?」
安「んー、どういうコンテクストで?」
梅「ディテールはちょっと……」
安「男、女?」
梅「性別もちょっと……」
安「いや、……いいんだけどさ。で、君はなんて答えたんだ」
梅「スチュアート・ダイベックの「僕はマゼランと旅した」を渡した」

僕はマゼランと旅した

僕はマゼランと旅した

安「……なんで?」
梅「……文学だなぁと思って。あれはようするに最高にツイてない人が、ツイてない人生を歩む話なんだよ。悲しい音楽と一緒にね。それでも、ラストシーンに「いいクリスマスを!」って言われるんだ。失敗だらけで最悪の人生、毎日、不幸だけど、それでも「いいクリスマスを!」って祝福してくれる他人がいるって、社交儀礼に過ぎないものが実存的な響きに届く。そういう作品だと」
安「わりィ、寝てた。実存とか言われたらもう寝るしかない」
梅「もういいよ。今はちょっと後悔している。イザベラ・アジェンデとか、ヴェンデラ・ヴイーダとかを薦めればよかったと思うよ。女の子だしね。」
安「うろおぼえの詩でも世界を救えるってことだね」
梅「どうなんだろうね」
安「全てをすてて「ひだまりスケッチ」を薦めればよかったんじゃないかな」
梅「ゆのさんは、俺だっ! そんな風にスタンダールが叫んだ」
安「そういえば、S.E.の話は?」
梅「ん、わかんね(笑)」