小説Π

  • 読んだのは第8号、2007年9月。A5かな。表紙のみ二色刷り。青と黒で、よい紙をつかってます。
  • いわゆる「純文系」のサークルで、同人誌としてこのレベルは半端ではない。文学フリマという場所ではかかせない古式ゆかしい文芸誌でありますね。小説と合評記録のみのシンプルのつくり。評論が一つもないというのは逆に珍しいかもしれません。
  • さいたま市を中心に活動されているようです。はい。
  • 中身としては大人の文芸誌、リアリズム小説の基本のような作品が多いです。トリッキーでアクロバティックな言語遊戯はさけて、日常生活でおこりそうなできごとを自分の内面のなかで振り返りながら進めて行く静かな作風が多いですね。
  • とりわけ印象に残ったのは長嶋絹絵氏の二作品「魚になる日」「伸びるゆび」のニ作品。前者は病気の母を通して過去を振り返る短編、後者はそれより少し長い、日常をうまく生きられない女性の、政治と世間の物語。どちらも日常で起こりえそうな出来事の積み重ねと、その出来事の凹凸の中でゆらぐ内面をうまくとらえている。
  • 純文学というジャンルはもはやあるのかないのか、という議論さえなくなってしまったけれど、純文学の香りがする文芸誌がまだ生きていることには有る程度の感謝をしなければならないかもしれません。純文学
  • 草の根であってもきちんと活動を続けている貴重なサークルです。
  • 多少高いが、買って損はないサークルの一つですね。とはいえ、個人的な印象では前号のほうが出来はよかったような。
  • そこも、ラノベばっかよんでないっ!