ジエン社第五回公演 『クセナキスキス』のお知らせ

文学フリマの興奮さめやらぬ現在ですが、うちのサークルにも寄稿していただいている作者本介さん率いる劇団「ジエン社」の最新公演がまじかです! ついにもうなんか「何かする事すら」も諦めたジエン社が放つ、演劇の未来をやる気なく見据えた最新作。これは見に行かないで、どうする。


2010年6月3日(木)〜6日(日) 於 日暮里d倉庫

作・演出 作者本介

◆キャスト

伊藤淳二 大重わたる夜ふかしの会) 大矢文(劇団森) 
岡野康弘(Mrs.fictions)
萱怜子 北川未来 清水穂奈美 寺内淳志 宮崎圭史
山本美緒 善積元 山本健介 他

 彼らの考えた日帰り老人ホームの運営認可は、おそらく下りないだろうと、ほぼ全員は考えていた。彼らは介護について素人の上、町は東海大地震で崩壊したばかりだ。それでも彼らは、特に何かを改めることなく、何もしない研修の日々を過ごしていく……。
 ジエン社第五回公演は、とうとう何かをする事すらも諦める。
 楽しませたり、感動させたりはもちろん、リアルである事すらも、諦めるかもしれない。誰からも期待される事もなく、何もしない演劇をし続けていく。

 前世紀最後の前衛音楽家、イヤニス・クセナキスは同時に建築家でもあり、また人類にとって初の地球外知的生命体(宇宙人)でもあった。彼の宇宙言語を理解したのが、意外にも日本人であった事はあまり知られていない。
 クセナキスと同じく音楽家でもあった高橋さんは、彼の作る前衛音楽(コスモトポロジカルノイジカルミュジセリカリズム)を、通常の五線譜で書き表し、オーケストラでの演奏をも可能にした(クセナキスの宇宙楽譜は円形である)。
 一方でクセナキスは地球の大気汚染に毒され、晩年「宇宙アルツハイマー」を発症し、人類でいうと脳に相当する器官を物理的に損傷していたが、それでも音楽を作る事を諦めなかった。
 しかし、彼の作る音楽がそもそも地球人類にとって理解しがたいものであり、ましてアルツハイマーを発症して作られたこの音楽が、はたしてこのメロディでよかったのか、この音の群れは正しいのか、この音はクセナキスが本当に表現したいものだったのか、そもそも、彼の描いていた連続する円の記号は本当に音楽だったのか、ついに高橋さんには分からなかった。高橋さんファンの彼女にも分からなかった。
 彼女は、高橋さんが指揮をしたクセナキスの音楽CDを購入し、パソコンにつなげヘッドホンで聞いていたが、クセナキスの最も有名な曲である『シナファイ』ですら、理解できなかった。
 彼女は「分からない」と言った。彼女の恋人も音楽を志している。
 ただし、彼の所属するバンドメンバーは全員やる気はなかった。彼も「分からない」と言った。「もう行けないかもしれない」とも言った。
 彼女は、彼と別れたいと思っていたが、同時に彼も別れたいと思っていたっぽかったので都合がよかったのかもしれない、とも思っていた。
 彼に「俺はバンドを続けるから、このまま彼女として君を見つづけるわけにはいかない」
と言われた。
 別にあなたの音楽が分からないから別れる、という訳では、無かったはずなのだが。

◆会場 日暮里d倉庫

※各線「日暮里駅」南口より徒歩7分
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里6‐19‐7‐2F
[Tel]03-5811-5399

◆公演期間 2010年6月3日(木)〜6日(日)

◆開演時間

6月3日(木)19:00
4日(金)14:00/19:00
5日(土)14:00/19:00
6日(日)13:00/18:00

◆料金

前売り 2.500円/当日 2.800円
平日ブロガー割引/平日ツイッター割引 2.300円(前売りのみ取扱い

※平日ブロガー割引/平日ツイッター割引・・・観劇した小劇場の感想などをブログやサイトに書かれている方には「ブロガー割引」が、ツイッターのアカウントを取得されて、常に呟いている方には「ツイッター割引」が適応されます。ただし、mixi等会員登録をしないと閲覧できないサイトは対象外とさせていただきます。また、ご利用の場合は、ご予約の際に、備考欄へブログのURLかTwitterアカウント名をご記入ください。観劇後には、感想を書いたり、呟いたりしていただければ幸いです。

◆ご予約 (前日24時まで受付)

[予約フォーム]http://ticket.corich.jp/apply/19737/
[E-mail]jiensya@hotmail.co.jp

※メールでご予約の際は、件名を「チケット予約」とし、本文に「1、お客様のお名前(フリガナ) 2、観劇希望日時 3、券種と枚数 4、メールアドレス 5、備考(あれば)」をご記入の上、上記のメールアドレスまでお送りください。
※いずれも、こちらからの返信をもってご予約完了となります。

◆スタッフ

舞台美術:泉真 / 舞台監督:桜井健太郎 / 照明:南星 / 音響:田中亮大
制作:清水美峰子(劇団銀石) / Web:きだあやめ / 宣伝美術:サノアヤコ
 

◆お問合わせ [E-mail]jiensya@hotmail.co.jp