Earlgrayの「想い風」シリーズ完結祝い。

 『野球場』にまけずこちらも更新していきますよ。

 さてさて、同人音楽研究会で研究発表もした「ボイスドラマ」についてですが、僕がボイスドラマにのめり込むきっかけになったとある作品について今回語ってみようかなと思っています。東方ボイスドラマの最高峰サークル「Earlgray」の「想い風」のシリーズです。

 サークル名「Earlgray」
http://cooth.org/eg/

 このサークルから出している「想い風 the ties between dream and wind」「天の海 Could there nearby you by you?」「唄う星 The earth that pupll watches」の三作品のボイスドラマはプロ声優を起用した上海アリス幻樂団の東方シリーズの二次創作であります。
 イラストは茨乃さんというpixivでも連続して上位に入るような一流のイラストレーターですし、脚本、BGM、声優の演技力、テーマソング。どれをとっても素晴らしい。

 Earlgrayはほかに「ドキドキシングルシリーズ」というまぁ非常にアレなあれも出していて*1、そちらのほうが基本的には評価が高いのではないでしょうか。想い風シリーズは一作あたり1500円上の値段といい、シリアスで穏やかな作風といい、あんまり「ネタ受け」そうな作品ではありません。
 
 しばしば、この作品は「東方らしくない」と言われます。実際にシューティングゲームの東方シリーズをやったことがあるひとは分かると思いますが、東方のなかのキャラクターたちは非常に軽妙洒脱で、しかも恐らく自信過剰です。
 東方原作の、プレイヤーキャラと魅力的なボスたちの軽妙なやり取りと、「想い風」シリーズで展開される折り目ただしいキャラクターたちの、ともすればしゃちほこばっているかのようなキャラクター造詣はあまりにも差異がありすぎる。そこに違和感を感じる向きもいるのでしょう。
 
 しかし僕はそれを欠点だとはみなしません。
 なぜなら、想い風のシリーズは二次創作というレイヤーを通して東方の世界における過去のことを真正面から扱っているからです。東方シリーズには毎号設定資料がついてくるのですが、それがいちいち「暗い」ことはみなさま知っての通りかと存じます。しかし、「想い風」のシリーズはそれらの問題を(とりわけ洩矢一家の移山)真正面から受け止めています。想い風における神々たちは、その意味では終わらない喪の作業に服しているようでもあります。

 では続きはまた次回。

*1:なおこちらも僕はちゃんと買って寝る前にきいてますよ。