SUNNY SUNNY ANN! の展示会を見てきました。
山本美希さんといえば、新進気鋭のイラストレーターで漫画家で、現在は『モーニング』においてSUNNY SUNNY ANN! を掲載していたことはみなさま周知のとおり、ついでに、単行本になって28日に出版されることもみなさま周知の通りかと存じます。しかーし、単行本の発刊を記念して京都のギャラリーアンテナでSUNNY SUNNY ANNの展示会が行われていたことはご存知でしたでしょうか。祇園祭で雅やかに彩られる京都の町を闊歩しつつ、遊びにいってまいりました!
Sunny Sunny Ann! (KCデラックス モーニング)
- 作者: 山本美希
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/23
- メディア: コミック
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一言でいえば、いい。大きなソファに寝転がって、一番好きな音楽をずっと聴き続けていられるようなきもちになります。
一見入りにくそうだけれど、秘密基地感ただよう京都のふるぼけたビルの一室。他に彫金屋さんなんかと並ぶ端の空間にそのギャラリーアンテナはあります。
サニーサニーアンの原画の展示を期待して入れば、そこはまるでアンが暮らしているかのような、異世界。PVはプロジェクターで壁に映像をなげかけながらも、そこにアンの切り絵たちがまるで花開く草原のように現れ、不安定で、でもずっと聞いていたく鳴るような音楽が終わること無く繰り返されていました。六畳間の小さな空間で、そこにはずうっと何か、僕達が普通に暮らしていては知ることのできない感情を蓄えて、拗ねて、大人で、かっこよくて、でもどうしようもなく見守っていたくなるアンの自由な生き方が展示空間にはあります。
山本美希の絵は、けっして「いまどき」のものではないでしょう。物語も、構成も、画力も、そのひとつひとつをとってみればまるで芸術のように敷居が少しだけ高く、同時に古めかしく冷たいものに見えるのかもしれない。けれども、そうではない。じいっと数分見続けていれば、そんな感覚を覚えるわけがないのです。彼女の絵には自由がある。力強い白黒の世界の間に、儚く弱々しい歎きもある。
でもやっぱりそこには自由があるのです。旅でもいい、ドアをあけることでもいい、もっと単純に靴をはくだけでもいい。小さな動作がほんの数秒後、数時間、数日後、自分をどこにつれていってくれるのか不安で、楽しくて、そんな期待と未来を夢見ざるをえないような夢をみる力の強さがあるように思います。だから、サニーサニーアンの自由を求めて、でも自由になりきれない可哀想な可愛らしさに僕らの心はわしづかみにされるのでしょう。
今回の展示は、決して派手なものでも、凄まじいものでもないかもしれない。でもいってよかった。
サニーサニーアンなんて聞いたこと無いよ! という人こそいってほしいなと思います。小さな部屋です。びっくりもしません。でも、そのばでしばらくぼんやりして、おみやげ(これもたのしい)をもらって帰ると、少しこころあらわれたような気持ちになる。……そうね、一言でいえば、「いい感じ」の展示でした。京都に住んでいたら、土曜日の暇な昼下がりにふらっといくのになー、なんて。
(たたた)
『展示案内』
http://haps-kyoto.com/events/antenna-sunny/
【作家】
山本美希【期間】2012年7月15日(日)〜8月5日(日)
【料金】無料http://www.antenna-re.info/page/exhibition/schedule.html
会場
会場名:ギャラリーアンテナ
webサイト:http://www.antenna-re.info/
アクセス:〒600-8332 京都府京都市下京区五条堀川東入ル中金仏町215-6
増田屋ビル2階D
電話番号:075-353-6788
開館時間:13:00〜19:00
休館日等:月曜日〜金曜日予約制(土日祝はオープン)