破滅派NO.002

  • なんだかよくわからないけれど我らが左隣のラスプーチンの隣のブースだった破滅派さん。前号もレビューを載せたけれど、NO.002もいただいたので読んでみた。
  • B5.112ページ。縦組。クリーム色の表紙に女性が目を閉じている横顔。「破滅派」のロゴ左上にかっこいい。裏は「破滅派同人募集中だって」となすびみたいな変なのがしゃべってる。HPももちろんあり。前号にくらべると短編小説が格段に増えた印象で。たしかに人数も増えていると思った。
  • 今作は【短編競作】【特集】【エセー】【特別寄稿】の四本だて。前号の新田氏の論考の続きが載らなかったのは残念だけれどしょうがない。
  • 巻頭は手島淳による短編小説「町」。雰囲気のある作品ではある。続いては「RE:現代文 解答」。ほろほろ落花生による採点付きである。前号に問題文は掲示されているけれど、作っただけのおあそびと思いきやきちんと解答編をつくってきた。むしろ逆になんか裏切られた感じさえするがいいや。採点基準はどうやら「採点者が「この人はもう戻ってこれないかもしれない」と危惧するぐらいの破滅性」らしい。そして解答者は一人残らずあたまがイカレていた。
  • 短編小説のなかでは児島啓祐の「つけものいし」が異彩を放つ。タイトルからは想像もつかないが耽美的なゴチックな文章の作品である。ほかのもそんなにひどい作品はない。竹之内温「ダブル・プラトニック・スゥサイド」がわりと好きではあるけれど、終わり方になんか物足りなさ。
  • 今回の大目玉は個人的には「痛女痛通信最終回「イショ」」である。ファンレターが来たからもうやめる、ということをいうわけだけれど、この英断というか肩透かしはすさまじくポリティカルな読みができる。見開き1pの短いものだが、そこの注2の図式は実はアイドル文壇の構図ではなかろーかと思ってしまった。
  • 痛子と読者様がニヤニヤしてるんじゃなくて、痛子をみて読者さまがニヤニヤしてるんですよ、というこの構図を商業誌でやるとするなら、注2構図を甘んじて受け入れてしまえるか拒否るかという二者択一は、ビジネスとしては「受け入れる」一択しかない書き手と商業誌のジレンマを表している。言いかえるなら、ここでもうやめるといってしまうことである種のアイドル(偶像化)する作者の像を脱臼してしまったということである。読み手にニヤニヤされるのが破滅で、本当に破滅しないためにはやめるしかない、という台詞はパフォーマティブには作家が消耗品にならないようになるためには、消耗される舞台から消えなきゃならない、ということをいってるらしい。
  • てか、まぁ全体的になんでみんな目のところに黒い線が入っているのか、そして脱いでいるのか、教えてくれ。
  • 特別寄稿は、え? 主宰者じゃね? と思った。が、働きながら小説を書くことの難しさを実に、なんというか肉感的に伝えるいいインタビューであったと思います。
  • 破滅派に幸多かれ。てか、幸多かったら破滅派じゃないのか。
  • そのうち、ウェブ版破滅派のレビューも載せるかもしれませんね。